2020.03.01 印刷 , デザイン

淡路ビーフ パンフレットデザイン制作

世の中には色々な商品やサービスがあり、あくまで個人的な意見ですが「上手にストーリーを作っているな〜」と思う商品とそうでない商品があります。具体的にどこで見分けているかというと「商品の良さが伝わるか伝わらないか」、もうちょっと言うと「心が動いたか動かなかったか」

商品の良さをキレイなコピーや面白いコピーで伝えている商品や、雰囲気にピッタリのパッケージなんかを見つけると「採ったど〜」って感じで嬉しくなります。

逆にメリットを詰め込み過ぎてよく解らなかったり、まとまって無いものをみると「もったいないな〜」と思います。

今回は私自身がお客様に心動かしてもらうためにどんな風にデザインやストーリーを行っているか、クライアント様(淡路ビーフブランド化推進協議会様)よりご依頼いただきました実際のパンフレットのお仕事を元に語りたいと思います。

メリットをピックアップ

商品の良さを伝えるのにはまず、商品のメリットを知らなければなりませんし、場合によってはデメリットを知ることも大切です。

方法は

  • お客様と直接お話
  • 資料をいただく
  • 実際に試してみる

など様々ですが理想は全部行えれば最高!

今回、クライアント様には全部行っていただきました。もちろん「試食あり」です。
こういうのが嬉しいんですよね〜
デザインのお話からちょっとそれますが、この「淡路ビーフ」めちゃくちゃ美味しいです!「しつこくない上品なサシの甘み」「しっかりした旨味の赤身」「滑らかな口溶け」・・・。
この歳(!?)になるとお肉も胸焼けしてたくさん食べれないんですが、淡路ビーフはいっぱい食べれます。はい、試食もお腹いっぱいいただきました(Ŏ艸Ŏ)
なかなか手に入らないですが、機会があればみなさんも是非一度食べてみてください。きっと「お肉の価値観」が変わりますよ。

 

話を戻しまして・・・。

 

お客様とのミーティングやご提出いただいた資料から淡路ビーフのメリットとして

  1. 由緒正しい但馬牛血統である!
  2. 認定条件が厳しい!
  3. モノ不和脂肪酸(オレイン酸)とイノシン酸が豊富!
  4. 赤身と脂身のバランスが良い
  5. 安心で安全!
  6. 淡路牛とは違う!
  7. 格付け(A5ランク等)は味の指標ではない!
  8. 淡路島で生まれた!

こんな感じでメリットをピックアップ!
一つの商品としてはメリットが多い方だと思います。ただ、このままコピーやデザインを行っても伝わりにくいですよね。

例えば1の「由緒正しい但馬牛血統なんです〜」って言われたら
「え?淡路ビーフですか?但馬牛ですか?」
「ハイ淡路ビーフです」
訳が解りません。

3の「モノ不和脂肪酸・・つまりオレイン酸とイノシン酸が豊富なんですよ〜、でオレイン酸っていうのが・・・・」
もうこの時点で話は聞いてもらえませんよね。

私自身もこのままでは「人の心を動かすデザイン」は難しそうです。

淡路ビーフブランド化推進協議会様が今まで作られた販促物を見せていただいてもどうやらこの時点でデザインを行っていたのかな〜と感じました。メリットはテンコ盛りなんですが漫画があったり写真メインで伝えようとしたりマニュアル的なパンフレットがあったりおしゃれだけど伝わりにくいコピーがあったり・・・。ややクライアント様も混乱しているのかな〜と思いました。
確かにメリットが多いとこういう感じになりがちなので、がんばってもう少し理解できる様に情報をまとめます。

ブランドストーリーをつくろう!

情報をわかりやすくする作業って扱う商品やメリットの数や質によっても変わりますが、今回はピックアップしたメリットを同意語や類義語を使ったり削ったり、表現を変えたりしてブランドストーリーとでもいうのでしょうか?
「商品の良さを伝える文章」を作っていきます。

例えば

  • 「5.安心で安全」
    これは流通商品として当たり前ですので改めて伝えなくても良いですよね、外します。
  • 「2.認定条件が厳しい」
    「希少性が高い」とも言えますよね(数が少ないんですから)
  • 「3.モノ不和脂肪酸(オレイン酸)とイノシン酸が豊富」
    これは栄養素の説明が大変そうなので外します。
  • 「6.淡路牛とは違う」
    どう違うのかの説明をブランドストーリーに組み込むのが難しそうなので、ちょっと外しておきます。
  • 「8.淡路島で生まれた」
    ブランド名になってるんですから入れない訳にはいきません。
  • 「4.赤身と脂肪のバランスが良い」と「7.格付け(A5ランク等)は味の指標ではない」
    この2つは重要ですよね。

お肉って「A5最高!」って思ってる方が多いと思います。(私もそうでした)
でも、このランクって「霜降りの量」つまり脂身の多さを表す表記でこのランクを大事にする日本の文化を「ランク至上主義」とか「霜降り至上主義」って言うらしいんですけど、実は「美味しさ」のランクでは無いんですよね。

ざっくり表現すると、「A5等の格付けは脂肪量の話で美味しさとは関係無いんですよー、その点淡路ビーフは赤身と脂身のバランスが最高なので美味しいんですよー」ということ。
これは、他のブランド牛との差別化になるし新しい味の価値の提供にもなります。また知識としても知っていれば人に話したくなりませんか?

この部分がブランドのメインになりそうです。

こんな感じでまとめていくと
淡路ビーフとは

  • 淡路島で生まれた、
  • 由緒正しい但馬牛血統で、
  • 従来の霜降り至上主義とは違った
  • 赤身と脂身のバランスを味わう
  • 希少性の高い牛肉

となります。

どうでしょう?
「商品の良さを伝える文章」としてかなりまとまった気がするのは私だけ?

いよいよデザイン!

ここまできてやっとパンフレットをデザインしていきます。
でもこの「商品を理解する作業」が大事なんです(たぶん・・・)

デザインイメージ

まず色々素案を考えます。

  • 和牛だから和風?
  • いや、ブランド牛、淡路ビーフだから洋風?
  • 高級だから黒に金?
  • 写真をどんな感じにするか?
  • コピーをどんな風にするか?
  • 構成は?
  • 形は?
  • 素材は?

これをブランドストーリーや使用目的、お客様はどうみるのか?どこにどう並べるのか?などを想像しながら作成したのがこのパンフレット!

〈表紙・裏表紙〉

〈見開き〉

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まずカラーの「白」
これは淡路ビーフの「お肉の新しい価値観」や「味の可能性」を表現するには「何色にも染まってない白」それに上品な高級感を表現するため「白」+「黄土色(金)」が相応しいと思い決定しました。

デザインは最初「和風にしようかな?」と考えていましたが、和牛でありながら従来の和牛価値とは違う淡路ビーフのイメージが「和から生まれた新しい和の形」というコンセプトにピッタリハマった感じがしたので「和モダン」でデザイン。
ただ、「白」+「和モダン」だけだとデザインが「つめた~い」感じになっちゃうので和紙柄をベースにすることで「温かみ」をプラスしてみました。

正方形にしたのも私なりのこだわりで「お肉の写真は1P全体に使った方が迫力がある」と考えたのと「表紙と裏表紙を並べた時キレイに見えれば、展示会やお店に置くときパンフレットを並べるだけでおしゃれなディスプレイにできる」。そう考えるとA4、B4などの長方形より正方形の方がしっくりくる気がしませんか?

写真へのこだわり

メニューにしろパンフレットにしろ食品の販促物で「写真」は重要!デザインやコンセプトがしっかりできても写真が美味しそうじゃなければぜーんぶ台無し・・・。逆に「良い写真」が一枚あればそれにコピーをはめ込むだけで「バチーン」とデザインがキマります。デザイナーとしては悔しいですが「写真」はそれぐらい重要。
私も写真は撮りますがあくまで素人プラス
意外と写真にこだわらないクライアント様も多いですがやはり「プロのカメラマン」にお願いすると

  • 光の当たり加減
  • 写真の雰囲気
  • 色の出し方

が全然ちがいます(ほんと全然ちがいます)

今回はその上「スタイリスト」の方にもお願いしました。カメラマンの方だけでもかなり良い写真を提供してくれるのですがあえてスタイリストさんを入れる違いは
カメラマンさんは「被写体」をキレイにとってくれますが、スタイリストさんをいれると「被写体を含めた空間のストーリー」も写真におさめてくれます。
今回の写真はどうですか?じっと見てるとその世界に吸い込まれそうな写真に仕上がったと思います。

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カメラマンさんもスタイリストさんも何度かお仕事させていただきましたが、本当に信頼できるお二人ですので皆さんも機会があればぜひ、ご依頼いただきたいです。

コピーでクライアントの思いを伝えよう!

コピーで、いわゆる「文章」での表現も大切
言葉で見えない物を伝える事ができるのは人の人たるゆえんです。ただ表現も様々で単純にスペックを書き連ねるのもコピーだし「脂身と赤身の宝石箱や〜」なんていうキャッチコピー的な表現もありますし、物語を作るときもあります。

今回は、クライアント様に色々お話を聞き淡路ビーフになる牛を育てる生産者や購入して食べてくださるお客様への想いを聞く中で「お手紙を書きたいな」と思いました。
淡路ビーフを買ってくれた人に。美味しいなと思ってくれた人に。
クライアント様が淡路ビーフに込めた思いや淡路ビーフが育つ淡路島の自然の姿を伝える「お手紙の代筆」そんな思いでこのコピーを書いてみました。出来に関しては賛否両論あるかもしれませんが読んでくれたお客様の心に少しでもささってくれれば嬉しく思います。

最後に

いかがだったでしょうか?
淡路ビーフブランド化推進協議会様からいただいた「パンフレット作成」を題材にデザインを

  • 「こんな事を考えながら」
  • 「こんな思いで」
  • 「こんなやり方で」

やってます!というお話をさせていただきました。

 

デザインとは綺麗に見せるのはもちろんですが、分かりやすく伝えるということが大切です。
パンフレットひとつとっても用途やターゲットに合わせて見せ方や伝え方が変わってきます。様々な工夫をすることで、商品の価値をわかりやすく伝え「集客や問い合わせ」へ繋げていくことが可能になります。

フレアデザインでは、チラシ・ポスター・パンフレット等の紙媒体の企画〜デザイン制作、印刷までをワンストップでご提供いたします。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。
お問合せフォームはコチラ

 

クライアント(淡路ビーフブランド化推進協議会様) http://awaji-katikuitiba.or.jp/beef.html
カメラマン(WORKING CLASS HERO 本田史郎様) http://www.wch-photo.com
スタイリスト(有限会社美絵工房 山ノ内いつか様) itsuka_stylist